まず最初は、maya使いの多くの方は知っているけど何故か使ってはいないと思われるFBIKについて触れてみたいと思います。
同じAutodesk社のアニメーションツール、モーションビルダーの廉価版アニメーション機能だとも言えます。
mayaにはFBIKという最初から組み立てられたリグ構造が有るのですが、そのまま使うと関節部分の制御が難しい事やIK・FK混合型アニメーションという事もあり敬遠されがちです。
maya2011のHumanIKでの改善、若しくはフリーのプラグインAdvancedSkeletonを使うというリギング(リグの設定)の選択肢が有るのですが、それらはまた別の機会にしたいと思います。
自分は特に何も考えず、リグを組むのが面倒だからという理由だけでFBIKを使っていました。
その際に、関節の制御はもとより「FBXに書き出したらmayaでのアニメーションとずれまくる」という事態に陥った事があります。
それまでやっていたIKハンドルツールからIKを組んで、最終的にFKでキーを打って調整というやり方では何故か無理だったので結局はアニメーションベイクで事を済ませました。
その他色々と普通のアニメーションとキーの打ち方や動かし方が違う部分が多いので気をつけましょう。
自分はリアルタイムレンダリング系の恐ろしさをこれも含めて色々と思い知りました。
こんなミスするのは自分だけかもしれませんが。
FBIKの前準備としては上の動画のようになります。
上部メニューバーのウィンドウから→一般エディタ→バイザーと移ってクリックします。
その後「FBIK」タブをクリックすると「bipedExample.ma」と「quadrupeExample.ma」の二つが有る筈なので、二足歩行の人間用に使う場合はbipedの方を選びましょう。
中ボタンでmayaのビュー上にドラッグするとFBIKが自動配置されます。
FBIKは自分で組む事も可能ですが、名前変更やラベル付けが面倒なのでこちらをお勧めします。
この辺りの詳細はチュートリアルFBIKを参照してください。
バイザーには他にも様々なサンプルが置かれているので、一通りのチュートリアルを済ませた後に一つ一つ確認すると色々と役に立つ事でしょう。
もちろん、データの追加も出来ます。
動画を見て貰えば判る通り、手首を引っ張ると腕部分だけでなく体全体が引っ張られるように稼動しています。
これがFBIKの特徴であり、生物的な動きを作成する際の大きなメリットです。
ただ慣れない内は逆にこのヌルヌル動くアニメーションに苦戦すると思います。
この辺りは「FK・IKのキーを巧く使い分ける」事が出来れば改善していくでしょう。
FK・IKの切り替えに関しては右上のチャンネルエディタ/レイヤーエディタ切り替えボタンを押し(ゴミ箱の上)、移動達成度・回転達成度を変更して行います。
エフェクター(以下、eff)を選択して(身体の各部位にある「○○eff」)を右クリックでも変更出来ます。
1でFK,0でIKとなりますが、最初は単純に1にすればeffで動きが付けられる程度に覚えるのが良いでしょう。
その他にも、effを選択後の右クリックでキーモードという見慣れないものが有るかと思います。
これはアニメーションキーを打つ際、「全ての部位・選択しているeffの部位・選択しているeff」を選んで打てます。
これも最初は「キーモード:全て」にしておいて、後々必要になれば細かく設定していくという流れが良いと思います。
アニメーション初心者用----------------------------------------------
上のメニューバーのアニメート→キーを設定でアニメーションキーを打つ。
ショートカットはs。
設定出来れば下部のタイムラインに赤い縦線が表示されます。
上部メニューバーにアニメートという項目が無い場合は左上の選択リストからアニメーションを選択すると出現します。
この選択リストは各々の項目に沿った内容をメニューバーに表示するので、モデリング時はポリゴン、アニメーション時はアニメーションを選択しておくと良いでしょう。
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他に重要な点では同じくチャンネルボックス又はeff選択後に右クリックで移動固定・回転固定という項目が有りますが、こちらはまた次回に詳しく説明しようと思います。
用語説明-----------------------------------------------------
・FBIK(フルボディインバースキネマティクス)
全身にIKが設定されたmaya標準(?)のリグ構造。
ある程度慣れるとキャラクターアニメーションは物凄く早く作れるが、かなり慣れないと調整に時間を取られて結局+-0になりがちである。
・IK(インバースキネマティクス)
(逆運動学)
アニメーション製作においての関節等に設定する3DCGツールの援助機能。
リグで末端位置を決めた際、そこから逆計算的にボーンの角度を決めていく手法。
IKと一概に言っても設定やツールによって動作は様々である。
キャラクターアニメーションにおいて有用。
イメージ的には手や足を引っ張ってポーズを作っていく感じです。
・FK(フォワードキネマティクス)
(前方への運動学)
で良いのでしょうか?
IKとは対をなし、親ボーン(起点となる骨)を動かすと子へと影響していって動かします。
微細なポーズ調整に有用。
多間接人形の間接部分を廻してポーズを作っていく感じです。
ポージングして静止画を取るだけならともかく、FKだけでアニメーションを作るのは至難の業でしょう。
・FBIK エフェクタ(本文のeff)
FBIKを作成した際に関節部分に出来る制御点。
これを動かすとIKシステムが起動して、ボーンが連動して動く程度に思って下さい。
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[4回]
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